2017年6月6日火曜日

相手を気遣う心を養う

こんにちは 金蘭千里です。


さて、いきなりですが、ここで問題です。


「○○くんのお姉さんはニューヨークに留学している彼に電話をしたいのですが、彼は現地時間の午前8時に学校に行き、午後6時に帰宅します。電話がかけられる時間は日本時間の何時から何時まででしょうか?ただし、サマータイムは考えないものとします」


 最近はカリキュラムや担当学年の都合でなかなか出題する機会がないのですが、
中学生に時差の勉強をするときに、飛行機の所要時間の計算のほかにこのような問題を必ず解かせていました。「○○くん」のところには大抵、その年の学年主任や生徒に人気の若手の先生の名前を入れたものです。


 その前に、時差ってなんですか?という人のために簡単に申しますと、
地球は西から東へ自転しているために、太陽の当たる部分(=昼)と当たらない部分(=夜)が生じますが、この、自転による地域ごとの時間のずれを時差と言います。地球は約24時間で一周しますから、360°÷24=15°、つまり、1時間の時差のあるところは経度でいうと約15°離れているところにあるということになります。実際には国境の都合や国の政策などでこの通りにはいかないのですが、それでも大まかに何時間の時差があるかを計算することができます。そして、自転で西から東へまわっているということは、地球からみると東から西に順に時間がたっていく、つまり、一日の始まりは日付変更線の東から順にやってくるということになります。


 さて、冒頭の問題ですが、ニューヨークと日本の時差はニューヨークからの経度差を計算すれば何時間違うか分かることになりますね。日本は東経135°の明石を通る標準時を採用しており、ニューヨークは西経75°の標準時を採用していますから、日本とニューヨークの経度差はロンドンを通るように計算して、135+75=210、210÷15=14 ということで14時間の時差(もちろん日本の方が早い)ということになります。
 したがって、お姉さんの彼氏が登校するときの日本時間は、同じ日の夜10時、帰宅時間は翌日の朝8時ということになりますが、彼が在宅しているときにしか電話をかけられませんから(今なら国際通話の携帯もありますが当時は一般的ではなかったので)答えは夜の10時から朝の8時までの間ということになります。


 生徒たちも難しいと言いつつも一生懸命計算し、そしてこの答にたどりつき、あるものは得意げに、あるものは、計算合ってるかな?と自信なさげに答えます。でも、まだ私の出題の真意に気付く者はいません。
 そこで「計算は合ってるけど、本当にその時間帯に何時電話してもいいかなあ?」と聞きます。
大抵の生徒はまだ、質問の意味が分からないのですが、中にははっと気づく子もいます。


 さあ、皆さんはお気づきになりましたか?この問題の解答は、確かにテストの問題の解答としては、午後10時から翌朝8時までということにはなるのですが、いくら淋しいからと言って思い立ったときに電話したらどうなるでしょう?また、間の悪いことに、電話することを思い出すのは昼休みだったり、放課後だったりしますから、ニューヨークが夜中の2時だったり、早朝だったりするわけです。一度や二度ならともかく頻繁だったら、二人の関係がぎくしゃくしても不思議ではありません。
 私は、この問題をただ計算するだけでなく、実際の生活に引き付けて相手を思いやるということを考えるチャンスにしてほしいと思って解いてもらっていました。今なら固定電話やメールだけでなくスカイプやチャットもありますから彼が登校中のうちの数時間も連絡可能な時間にカウントされるかもしれません。それでも、勉学にいそしむ人の邪魔をするようなことのないような配慮ができる人にまた、今でも決して安くはない通信費のことを気遣えるような人になって欲しいと思います。
 これは、ほんの一例ですが、授業の中からでも学習以上のことをも学ぶ機会になって欲しいといつも願っています。










本日もブログにお越し頂きありがとうございました。